現場で見るCFD(キヤノン、三機工業)
気流解析結果を3D化し、現場でリアルに見る
3Dによる設計や解析技術の進歩で、コンピューターによる気流解析(CFD)の結果は3D空間上に見える化され、誰にでも分かりやすくなってきた。
ところが、それでも3Dモデル上で見た気流と、実際の部屋で感じる気流の感覚が微妙に違うこともある。
そこで、キヤノンマーケティングジャパンとキヤノンITソリューションズ、三機工業はCFDの解析結果を実際の室内風景に重ねて見られる「空調気流・温度シミュレーションシステム」を開発した。
工事予定の部屋はあらかじめパソコン上で3Dモデル化し、CFD解析用のデータを設定しておく。
このパソコンを工事が予定されている部屋に持ち込み、ヘッドマウントディスプレーに接続して部屋の中を歩き回りながら見渡すと、部屋の風景の中に空気の流線が見えるというわけだ。
「ここにベッドを置くと、風は患者に直接当たってしまう」とか「吹き出し口の向きを変えると、風は壁に沿って流れる」といったことが実物大で体験できるので、施主と施工者との合意形成も、より確実にできそうだ。
三機工業は、クリーンルームなどの独自技術を持っており、空調設備の施工前に気流や温度の数値シミュレーションを行ってきた。
一方、キヤノングループは、現実世界とCG(コンピューターグラフィックス)を違和感なく融合させる「MREAL」というシステムを開発してきた。
今回のシステムは、両陣営の技術がコラボレーションして実現した。キヤノングループは、このソリューションを今年11月末から建設業や製造業を中心に提供する予定だ。