岐阜市にある所員わずか6人の建築設計事務所、アーキ・キューブが3Dレーザースキャナーを開発した。今年9月から実務への導入が可能になっている。リフォーム工事では図面が残っていない建物も多く、設計前に行う現地調査や図面化の手間を軽減しようというのがその理由だ。開発費は本体と制御ソフトの合計で約350万円。その実力を直撃取材した。
11月17日、岐阜市内のアーキ・キューブの事務所を訪れると、その3Dレーザースキャナーがあった。分厚いアルミ製アングル部材に部品がねじ止めされ、あちこちから配線が出ている武骨なスタイルだ。
若手スタッフがパソコンと3Dレーザースキャナーを接続し、室内を試験的にスキャンするための作業を進めていく。
人間も含めて建物を丸ごとスキャン
打ち合わせスペースの真ん中に3Dレーザースキャナーを据え付け、水平方向のスキャンピットを0.25°にセットして計測をスタートした。
3Dレーザースキャナーは最初、首や肩を回す“ストレッチ体操”をするかのように、モーターが「ウィーン」と軽い回転音を縦ながら、位置合わせのためのウオーミングアップを行った。
そしていよいよ計測がスタート。本体は0.25°ずつ反時計回りに小刻みに旋回しながら、約5分で1周すると計測が終了した。 いったい、どんなデータが取れたのだろうか。計測された点群データはテキスト形式だ。表計算ソフト「Excel」に読み込んでみると、75万7782行もあった。データ容量は約40MBだ。
いったい、この点群データはどんな形状なのかを見るため、さらにオートデスクの点群処理ソフト「ReCap」やBIMソフト「Revit」に読み込んでみた。
すると、打ち合わせスペースの周辺にある本棚や階段、梁、そして吹き抜け天井にあるシーリングファンまでが詳細に記録されていることが分かった。
計測中、筆者を含めて5人が3Dレーザースキャナーから数メートルの至近距離で待機。自分たちも含めての計測だったが、使用されているレーザーセンサーは「クラス1」なので人体には無害だ。筆者の方にレーザー光線が飛んで来たときも、特に何も感じなかった。