札幌市中央区の道路工業は、全国初と言われる舗装工事を対象としたCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)試行工事に今年7月から取り組んでいる。同社にとってCIMは初めての体験だ。作成したCIMモデルはまだ3次元で道路構造をモデル化したばかりだが、今後、CIMモデルの各部分に入力する属性情報の内容を検討し、発注者が維持管理業務を効率的に行えるようにする。
2015年7月8日に着工した「国道232号線金駒内登坂車線舗装工事」は、舗装工事としては全国初と言われるCIM試行工事。この工事を受注した道路工業は、これまでCIMを使ったことはなかった。特記仕様書にはCIM試行工事であることが記されていたが、CIMの導入は受注者の任意に任され、その費用も受注者持ちというものだ。
この機会にCIMに挑戦しようと決断した道路工業は、オートデスクのCIMソフトパッケージを購入したが、同社ではCIMモデルを作れるスタッフは抱えていなかった。このためCIMモデルの作成は外注し、着工から約1カ月でCIMモデルの基本となる3次元モデルまではなんとか出来上がった。
早速、施工段階での活用にチャレンジ
5工区、延べ延長1060mからなるこの工事には、道路土工やアスファルト舗装工、ガードレールの設置などが含まれる。
工期は7月~来年1月だが、12月5日ごろには日平均気温が0℃を下回ることが予想され、そのころには積雪も根雪となって溶けにくくなるため、12月初旬までに舗装は終わらせる計画だ。
作成されたCIMモデルは、属性情報はまだあまり入っていないが、早速、施工段階での活用が行われている。
CIMの効果が発揮されたのは、工事区間の両端で交通規制を行う交通規制車の位置検討だ。現場の両端にはカーブや坂の頂上があり、見通しが悪い。規制車は300m手前からドライバーに見えるように配置しなければならない。
従来の2次元図面だと、平面図と縦断図から、見通せる距離を把握するのは難しかったが、CIMモデルを使うことで、見通しと距離を両方考慮した検討を行うことができた。