BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)では、パソコン上の3Dモデルに「BIMパーツ」と呼ばれる建材や設備の3Dモデルを配置しながら設計を進めていく。建築保全センターは、建材・設備の現行製品に対応したBIMパーツを集め、BIMユーザーにウェブサイトで提供するため「BIMライブラリーコンソーシアム」を10月30日に設立することになった。

 BIMソフトで設計をするとき、BIMパーツは“設計の米”とも言えるほど、重要な存在だ。もし、設計中に目的とする建材や設備のBIMパーツがない場合は、作業はそこでストップしてしまう。

 そしてCAD部品サイトを探したり、見つからない場合は自作したりすることになる。そのため、BIMパーツがスムーズに入手できるかどうかで、BIMによる設計効率は大きく左右されるのだ。

 そこで一般財団法人建築保全センターは、BIMパーツを集約してウェブサイト上で提供する「BIMライブラリーコンソーシアム(仮称)」を立ち上げることになり、9月29日に東京都内で会員募集の説明会を行った。

120社・170人の来場者で会場は満員

 説明会の会場に集まったのは120社・170人もの参加者だ。立ち見も出るほどの盛況ぶりだった。そこには、BIMユーザーからのBIMパーツへのニーズや関心の高さがうかがわれた。

説明会の会場には170人の参加者が詰めかけた(写真:家入龍太)
説明会の会場には170人の参加者が詰めかけた(写真:家入龍太)
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 BIMパーツは現在、BIMソフトベンダーや建材・設備メーカー、あるいはユーザー自身がBIMパーツを作成して設計に使っているが、建材全体の数に比べるとごくわずかだ。

 また、世の中全体で見ると、同じ建材・設備のBIMパーツをどこかの誰かが何度もつくったり、せっかくつくったBIMパーツが繰り返し使われなかったりなどの無駄があった。

 この無駄の大きな原因は、3D形状や属性情報と呼ばれる内蔵データの詳細度が、つくる人によってまちまちなことにある。他人がつくったBIMパーツを様々なサイトから集め、そのまま自分のBIMモデルに読み込んで、建具表の作成や省エネ法の外皮計算などに使うことは事実上不可能なのだ。

 そんな中、建築保全センターという公的な団体が音頭をとり、適切な属性情報が付いたBIMパーツを標準化し、BIMユーザーに供給しようという取り組みは、まさにBIMパーツ不足に悩むユーザーにとってはまさに朗報に違いない。

現在のBIMパーツ利用形態(資料:BIMライブラリーコンソーシアム事務局)
現在のBIMパーツ利用形態(資料:BIMライブラリーコンソーシアム事務局)
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BIMライブラリー運用後のBIMパーツ利用形態(資料:BIMライブラリーコンソーシアム事務局)
BIMライブラリー運用後のBIMパーツ利用形態(資料:BIMライブラリーコンソーシアム事務局)
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