カーブした道路脇にU型側溝を設置したり、雪に埋もれたマンホールを探したりするとき、位置の特定には測量技術が欠かせなかった。ところが最近、GNSS(全地球測位システム)や室内の位置測定機器を使って、手軽に3Dで墨出しや測設、場所案内を行えるシステムが増えてきた。測量技術を意識せずに使える最近のシステムを見てみよう。
快測ナビ(建設システム)
土方カーブよりスマートに側溝を設置
カーブした道路脇に側溝を設ける場合、これまではカーブに沿って「水糸」を張り、これに沿ってU型側溝を設置するというのが一般的な施工方法だった。
この作業をミクロに見てみると、いまだに現場作業員の経験と勘に頼った面が多くの残っていることが分かる。
というのも、5m、10mといった支持間隔で張られる水糸は多角形なので、水糸の支持部から離れた区間では、U型側溝を水糸から微妙にずらして設置する必要があるからだ。
そのため、従来は「土方カーブ」という現場ならではの技で水糸からの離れを計算しながら、U型側溝を設置していた。同じ半径になるように設置するための目印は、U型側溝の外側にできるすき間だった。
しかし、円弧区間ならともかく、半径が連続的に変わるクロソイド曲線などでは土方カーブは使いにくい。
そこでカーブの形状や半径にかかわらず側溝をカーブに沿って正確に設置できるようにしたのが、建設システムの「快測ナビ」という新製品だ。
これまで土方カーブや目分量に頼っていた側溝の設置位置を、100分の1ミリ単位で高さ、水平方向ともに誘導してくれるのだ。
クロソイド曲線や円弧などのカーブで構成された道路の図面を3D化し、システムに入力する。
すると現場に設置した墨出し・測設機「杭ナビ」(トプコン製)と、作業員が持つ現場用タブレット端末「タフパッド」(パナソニック製)によって、どこでも正確な設置位置に誘導してくれるというわけだ。
側溝の正確な設置は、快測ナビの機能のごく一部にすぎない。このほか、画面上にCAD図面を表示させて任意の点を現場で墨出し・測設したり、測量機などを設置したりと、様々な機能がある。
快測ナビのシステムでは、作業員が持つタブレット端末をスムーズに誘導するため、杭ナビという測量機を選んだ。その理由は、「タブレット端末との通信頻度が毎秒20回もあることだった。通信頻度が少ないと、測設位置までの誘導がスムーズにいかない」と建設システム取締役 建設ICT研究部部長の土屋義彦氏は説明する。