Visual Warehouse(サトー、シーイーシー)
大型倉庫にある目的物の位置をiPod上に3D表示

 本や小さな部品などは、本棚や引き出しなどに入れて整理整頓を行いやすいが、建材や設備などサイズが大きなものはどうしても「運搬しやすい場所」「空いている場所」に置くことが優先され、倉庫内のどこに何があるのかが分からなくなりがちだ。

 こうした大型倉庫の課題を解決するため、サトーシーイーシーは、大型倉庫内のどこに何があるのかを3Dモデルを使って分かりやすく、正確に管理する倉庫内ナビゲーションシステム「Visual Warehouse」を共同開発した。

倉庫内のどこに何があるのかを3Dで表示する「Visual Warehouse」の画面(資料:サトー)
倉庫内のどこに何があるのかを3Dで表示する「Visual Warehouse」の画面(資料:サトー)
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資材などの位置が端末上に立体的に表示される(資料:サトー)
資材などの位置が端末上に立体的に表示される(資料:サトー)
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 このナビゲーションシステムは、倉庫内の「仮想3Dマップ」と屋内位置測位システム、バーコード技術と、ウェアラブル端末を組み合わせたもので、サトーによると物流業界では初めてシステムだ。

 倉庫内の作業員は、3Dマップを表示しながら資材の場所まで音声案内してくれるウェアラブル端末を装着する。この端末にはアップルのiPod touchが使われている。

作業員用のウェアラブル端末にはアップルのiPod touchを利用した。右手にスキャナー、左手にモニター画面が付いている(資料:サトー)
作業員用のウェアラブル端末にはアップルのiPod touchを利用した。右手にスキャナー、左手にモニター画面が付いている(資料:サトー)
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 端末からの「目的の商品エリアまであと2メートル」とか「次の通路を右に曲がります」といった音声案内に従って歩いたり、フォークリフトに乗ったりしながら移動すると、目的の資材の場所まで、到着できるという仕組みだ。

 倉庫内を回って複数の資材を取ってくるときは、システムが最短ルートを自動的に計算し、指示してくれる。

複数の資材を取ってくるときは、最短ルートを指示してくれる(資料:サトー)
複数の資材を取ってくるときは、最短ルートを指示してくれる(資料:サトー)
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 入荷した資材を置いた場所は、作業員やフォークリフトなどに付けたUWB(超高域無線)を利用した通信タグと、倉庫内に設置した測位機器で位置情報を収集し、管理する。そのため、資材一つ一つにICタグなどを張り付ける手間やコストがかからない。

 位置計測の精度は誤差30cmと高いので、建材くらいのサイズだと間違うことはないだろう。

 また、出荷予定が急に変更になったときは「出荷商品の品目や数量変更がありました」といった具合に、リアルタイムな指示を送ってくれるので、手戻りも少なくなる。

 そして、作業員が移動した動線などの情報は、「ログ」として記録・帳票化し、作業にムダがないかどうかを見える化。シミュレーションツールでさらなる物流改善を行える。

作業員などの移動動線などの情報はログ収集し、業務改善を行える(資料:サトー)
作業員などの移動動線などの情報はログ収集し、業務改善を行える(資料:サトー)
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 このシステムは今年の秋から、建材市場を中心に機材や原材料、商品などを平置きしたり、フリーロケーションで管理したりする大型倉庫向けに販売していく予定だ。

 建設業でもBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータを活用すれば、これと同じように倉庫や部屋などの管理を行うシステムがつくれるかもしれない。