RTK-GNSS搭載タフパッド(パナソニック)
雪に埋もれたマンホールなどを3D道路地図に表示

 雪国ではそろそろ、除雪作業に向けての準備を始めている自治体や建設会社などもありそうだ。

 白銀の道路上にモーターグレーダーやホイールローダーなどを走らせて行う除雪作業には、大変な熟練を必要とする。

 例えば、雪に埋もれたマンホールの場所では、ブレードを少し浮かせて衝突を回避する技だ。マンホールのふたは、路面より飛び出していることが多いので、ブレードがもろにぶつかると車両が破損したり、運転手が頭などをぶつけてけがをしたりすることもある。

 マンホールの位置を覚えておき、その部分で少し除雪用のブレードを上げる運転技術は、長年の経験と勘に裏打ちされた職人芸に頼っているのが現状だ。

 こうした除雪時の問題を解決してくれる新兵器をパナソニックが発売した。工事現場などで使われる防滴・防じん・耐衝撃性に優れたタブレットパソコン「TOUGHPAD(タフパッド)」を活用した「高精度測位システム」だ。

 このタフバッドには、情報化施工で使われる高精度な衛星測位機能「RTK-GNSS」が搭載されている。

「RTK-GNSS」搭載したタフパッド「高精度測位システム」(写真:パナソニック)
「RTK-GNSS」搭載したタフパッド「高精度測位システム」(写真:パナソニック)
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 このシステムは、タフパッドに衛星電波受信モジュールやワイヤレスWAN(広域通信網)、1周波RTK-GNSS機能を搭載したパナソニック独自の衛星測位技術を搭載したものだ。

 外部アンテナでGNSS衛星からの電波を受信するとともに、ワイヤレスWANによって電子基準点での位置補正データを受信し、両者のデータから短時間で10~50cm程度の精度で現在位置を求めることができる。

高精度測位システムのシステム概要図(資料:パナソニック)
高精度測位システムのシステム概要図(資料:パナソニック)
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 このタフパッドに、マンホールや消火栓、ゴミ箱、家の塀などの道路構造物を含んだ3次元道路地図を入れて、除雪車の運転席に積む。

 そして高精度測位システムの位置情報を利用すると、経験の少ない人でも安全・確実に除雪作業が行えるようになりそうだ。

 例えば、マンホールの近くに除雪車がさしかかった場合には、タフパッドの画面上で雪に埋もれたマンホールを3次元地図上で“透視”できるので、タイミングよくブレードを上げ下げして衝突を防ぐことができる。

 北海道岩見沢市内の道路で、2015年12月から2016年3月まで、このシステムを利用して除排雪作業の実証実験が行われる。雪の中が3次元地図で可視化されると、様々な作業が効率的に行えるようになりそうだ。