シャッターを1回押すだけで周辺の上下左右360度を撮影できる全天球カメラ「THETA(シータ)」。建設業での活用も期待できそうだ。ダウンライトのソケットから天井裏を撮影する、全天球写真をトレースして部屋の3Dモデルを作る、ドローン(無人機)に搭載して現場を上空から記録するなど、様々なアイデアを紹介しよう。

「RICOH THETA」の表面と裏面(左)。サイズは42mm(幅)×129mm(高さ)×22.8mm(奥行き)で、質量は約95gだ。右は全天球カメラの撮影イメージ(写真・資料:リコー)
「RICOH THETA」の表面と裏面(左)。サイズは42mm(幅)×129mm(高さ)×22.8mm(奥行き)で、質量は約95gだ。右は全天球カメラの撮影イメージ(写真・資料:リコー)
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 リコーは2013年に全天球カメラ「RICOH THETA」を世界で初めて一般消費者向け製品として発売した。

 全天球カメラとは、部屋の中や周囲の風景を左右上下にぐるりと360度記録したパノラマ写真(全天球イメージ)や動画をシャッター1回で撮影できるカメラだ。自分が見ている範囲だけでなく、背中や頭のてっぺんなど撮影者の死角となる部分も含めて、周囲のあらゆる方向で起こっていることを写真や動画でくまなく記録できる。最新機種「m15」の価格は3万4700円(公式直販サイト)だ。

建物の中で「RICOH THETE」(矢印)をかざして撮影した例。撮影者の方を見たところ(写真:リコー)
建物の中で「RICOH THETE」(矢印)をかざして撮影した例。撮影者の方を見たところ(写真:リコー)
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横方向(左)や真上の方向(右)も同時に撮影されている(写真:リコー)
横方向(左)や真上の方向(右)も同時に撮影されている(写真:リコー)
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ダウンライトの穴から屋根裏の設備を撮影

 この全天球カメラを天井裏や床下、ピットなど暗くて狭い場所の現状調査に使おうと、テクネット(東京都中央区)は、隠ぺい部撮影カメラ「PanoShot」を開発した。

 THETAの周囲にLED照明装置を装備し、これをポールに取り付けたもので、ダウンライトの開口部などの小さな穴から、天井裏や床下などの現状を360度撮影できるのだ。

THETAを囲むようにLED照明を装備したPanoShotの先端部。白い部分は3Dプリンターで作られている(写真:家入龍太)
THETAを囲むようにLED照明を装備したPanoShotの先端部。白い部分は3Dプリンターで作られている(写真:家入龍太)
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現場での使用シーン(写真:テクネット)
現場での使用シーン(写真:テクネット)
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 これをダウンライトなどの穴に差し込んで、スマートフォンでシャッターを切ると、その周囲の上下、左右360度を見渡せるパノラマ写真や動画が撮れる。

 一般のカメラだと、何枚も写真を撮るのに苦労するところだが、THETAなら1枚撮ればよい。なお、THETAとLED照明を取り付けるPanoShotの先端部は、3Dプリンターで作られている。

撮影された天井裏のパノラマ写真。1枚の写真で上下左右360度を見渡して現状を確認できる(写真:テクネット)
撮影された天井裏のパノラマ写真。1枚の写真で上下左右360度を見渡して現状を確認できる(写真:テクネット)
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