シャッターを1回押すだけで周辺の上下左右360度を撮影できる全天球カメラ「THETA(シータ)」。建設業での活用も期待できそうだ。ダウンライトのソケットから天井裏を撮影する、全天球写真をトレースして部屋の3Dモデルを作る、ドローン(無人機)に搭載して現場を上空から記録するなど、様々なアイデアを紹介しよう。
リコーは2013年に全天球カメラ「RICOH THETA」を世界で初めて一般消費者向け製品として発売した。
全天球カメラとは、部屋の中や周囲の風景を左右上下にぐるりと360度記録したパノラマ写真(全天球イメージ)や動画をシャッター1回で撮影できるカメラだ。自分が見ている範囲だけでなく、背中や頭のてっぺんなど撮影者の死角となる部分も含めて、周囲のあらゆる方向で起こっていることを写真や動画でくまなく記録できる。最新機種「m15」の価格は3万4700円(公式直販サイト)だ。
ダウンライトの穴から屋根裏の設備を撮影
この全天球カメラを天井裏や床下、ピットなど暗くて狭い場所の現状調査に使おうと、テクネット(東京都中央区)は、隠ぺい部撮影カメラ「PanoShot」を開発した。
THETAの周囲にLED照明装置を装備し、これをポールに取り付けたもので、ダウンライトの開口部などの小さな穴から、天井裏や床下などの現状を360度撮影できるのだ。
これをダウンライトなどの穴に差し込んで、スマートフォンでシャッターを切ると、その周囲の上下、左右360度を見渡せるパノラマ写真や動画が撮れる。
一般のカメラだと、何枚も写真を撮るのに苦労するところだが、THETAなら1枚撮ればよい。なお、THETAとLED照明を取り付けるPanoShotの先端部は、3Dプリンターで作られている。