GPS対応地図による飛行ルートの確認

 続いて、飛行ルートの確認だ。この日の空撮は道路工事現場の上空を200mほど往復して撮影する予定だった。

 アマチュアの感覚だと、現場の向こう側にあるくい打ち機を目印にして適当なところまで行ったら引き返してきたらいい、というように安易に考えがちだ。

 しかし、人が作業している場所の上空には絶対にドローンを飛ばさないのがプロのパイロット。ワゴン車に搭載したノートパソコンで、GPS(全地球測位システム)対応の地図を開き、飛行ルートを入力する。

 そして飛行中は、常にドローンから送られてくるGPS信号をノートパソコン上で確認しながら、目分量に頼ることなく飛行ルートをきっちりと守るようにする。

ワゴン車に搭載されたノートパソコンで飛行ルートを入力(写真:家入龍太)
ワゴン車に搭載されたノートパソコンで飛行ルートを入力(写真:家入龍太)
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本日の飛行ルート(写真:家入龍太)
本日の飛行ルート(写真:家入龍太)
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 ドローンや実物の軽飛行機の大きな墜落原因の1つに「燃料切れ」がある。プロのドローンパイロットも、燃料となるバッテリーの管理には最大限の注意を払っていた。

 今回、使用したドローンは、99WHのバッテリーを2個搭載しているが、充電済みのバッテリーを7組、計14本用意していた。この準備によって、パイロットはバッテリー残量の心配をすることなく、飛行計画にも余裕ができる。

 ドローンに装着する前には、1本ずつ充電量を「こちらは99%、こちらは100%」というようにバッテリーチェッカーで計測した。充電量が95%未満のバッテリーは使用しないという徹底ぶりだ。

 そしてドローンが1回の飛行を終えて帰ってくると、飛行時間にかかわらずバッテリーを満充電のものに交換する。1つ1つのバッテリーには使用開始日の日付が記録されていた。

ワゴン車には7組、14本の充電済みバッテリーを用意(写真:家入龍太)
ワゴン車には7組、14本の充電済みバッテリーを用意(写真:家入龍太)
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各バッテリーの底には、使用開始日が記入されている(写真:家入龍太)
各バッテリーの底には、使用開始日が記入されている(写真:家入龍太)
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ドローンに装着する前に1本ずつ充電率を計測する(写真:家入龍太)
ドローンに装着する前に1本ずつ充電率を計測する(写真:家入龍太)
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1回の飛行ごとにバッテリーは満充電のものと交換する(写真:家入龍太)
1回の飛行ごとにバッテリーは満充電のものと交換する(写真:家入龍太)
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 軽飛行機の飛行前点検でも、燃料の残量には特別に注意を払う。飛行前には計器盤の燃料計を確認するのはもちろん、両翼にある燃料タンクのふたを開けて、パイロット自らが燃料の液面を目視で確認するほどの徹底ぶりだ。

 そして不時着などの緊急時に、位置を知らせるために使用する救命無線機のバッテリーも、寿命の半分に達したら新しいものと交換することになっている。

 河手氏のバッテリー量に対する徹底したこだわりは、こうした軽飛行機のチェックともオーバーラップしていた。