電力ケーブルの納まりをBIMモデルで検討
トンネルに収納する電力ケーブルは幹線用のものなので、柔軟に曲げられるようなものではない。配管やダクトと同様に、あらかじめしっかりと納まりを検討しておく必要がある。また、将来のケーブル増設に備えて、作業スペースなども考慮しておく必要がある。
そこで西松建設は、トンネルや立て坑、電力ケーブルを精密にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル化し、複雑に入り組む電力ケーブル同士やケーブルと立て坑などとの干渉をチェックした。
立て坑とトンネルの接続部は、その中でも最も納まり条件が厳しい。電力ケーブルには曲げられる限界の半径があるため、立て坑とトンネルが直角に接続する部分は、特にスペースに限りがあるからだ。西松建設はBIMモデルで干渉チェックなどを行いながら、ケーブルの納まりを検討した。
掘削が終了した区間では、仕上げ工事や設備工事が着々と進んでいる。トンネルの頂部には、天井走行クレーン用のレールが常設されているほか、トンネルの床部分には車両の走行路となるプレキャスト製のPCトラフが設けられている。
将来のメンテナンスを省力化するための設備を、設計・施工段階からあらかじめ考慮し、用意しているところに、土木インフラのライフサイクル全体をにらんだシンガポールの生産性向上戦略が感じられた。