施工情報を「IoT化」
このシステムは、生の施工データもリアルタイムに共有されるようになっている。例えば報告事項や進ちょく状況、会議の記録などだ。さらには地盤や掘削管理、トンネル掘削データの評価なども共有できる。
これらのデータは「ダッシュボード」と呼ばれる画面に集約され、そこで概要をざっくりと把握できるほか、さらに詳しい情報が必要なときは、簡単にアクセスして確認できる。そして各データは、地球を丸ごと3Dモデル化した「グーグルアース」の上に、BCA(シンガボール建築建設庁)が認めた配置図や施工図、土質柱状図などを重ねて見られるようになっている。
また、TBMの運転状況に関する様々なデータもリアルタイムに見られる。
現場のあちこちで計測されたデータを集める方法は多岐にわたっている。Eメールやウェブサイト上での手入力、「FTP」と呼ばれるファイル転送方式、そして現場の自動遠隔計測システムといった様々な方法で集められている。
トンネル内部や地上には無線LAN、立て坑には有線LANが敷設されており、これらを経由してデータを集めている。
計測データには、計測器の種類や位置、リアルタイム計測か手入力かの違いといった情報も付加される。それ以外の情報として、トンネルルート周辺の重要な建物の図面、土質柱状図、TBMの運転状況データも収集する。TBMからのデータ収集には、演算工房(本社:京都市上京区)のシステムを使っている。
また、坑内を走る運搬用トロッコ列車の機関車からは、バック運転時に貨車の先にいる人やモノが見えにくい。そこで最後部の車両にもビデオカメラを取り付けて、前方確認に使っている。
現場のあらゆる施工情報を、インターネットで収集し、1つのダッシュボード上でデジタルに再現するという点で、まさに施工の「IoT(インターネット・オブ・シングズ)」活用と言えるものだ。