BIMモデルを集めて干渉をあらかじめ解決

 「清水建設が構造設計のコンサルタントや専門工事会社からBIMモデルを集め、干渉問題の解決や取り合い調整などの調整を行う。その後、BIMモデルから施工図を切り出して現場での施工に使うという手順を徹底している」と現場所長を務める清水建設の石橋章夫氏は説明する。

 この建物は4つの棟からなり、低層には駐車場、外構部分にはレストランや庭園などが立ち並ぶ。規模が非常に大きいため、BIMモデルも低層棟、高層棟、外構というように分割して作成し、リンクすることによって1つの全体BIMモデルにした。

構造、意匠、設備の設計を担当する各社が作成したBIMモデルを清水建設が統合し、干渉部分などがないかを施工前に設計調整する(資料:清水建設)
構造、意匠、設備の設計を担当する各社が作成したBIMモデルを清水建設が統合し、干渉部分などがないかを施工前に設計調整する(資料:清水建設)
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 「部材同士の干渉問題を回避するための設計変更は、必ずBIMモデルにさかのぼって修正する。そのため、施工図には常に最新の取り合いが反映され、整合がとれたものになる」と石橋氏は語る。

 完成間近の建物には、「BIMルーム」と呼ばれる部屋がある。3Dプリンターで作られた建物や詳細構造の模型が並んでいるこの部屋こそ、着工当初から清水建設がこの建物の施工過程でBIM活用を実践してきた基地なのだ。

 また、現場内には設備や構造のCGパースをずらりと掲示した「BIMボード」を設け、施工チームや専門工事会社の技術者、現場作業員らが施工内容を理解しやすいように努めている。

現場内に設けられたBIMルーム(写真:家入龍太)
現場内に設けられたBIMルーム(写真:家入龍太)
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3Dプリンターで作成した模型を手にする石橋章夫所長(左)。2015年に受賞したBCA BIMアワードのプラチナ賞賞状のコピー(右)(写真:家入龍太)
3Dプリンターで作成した模型を手にする石橋章夫所長(左)。2015年に受賞したBCA BIMアワードのプラチナ賞賞状のコピー(右)(写真:家入龍太)
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BIMモデルを切り出した断面パースなど約80点の画像を展示する「BIMボード」を現場内に設けた。施工チームや専門工事会社の技術者、現場作業員らが施工内容を理解しやすくするためだ(写真:清水建設)
BIMモデルを切り出した断面パースなど約80点の画像を展示する「BIMボード」を現場内に設けた。施工チームや専門工事会社の技術者、現場作業員らが施工内容を理解しやすくするためだ(写真:清水建設)
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