内作、KOA本社での統括管理、ローカル社員主体のBIM

 シンガポールで建築確認申請にBIMモデル提出が義務付けられるなど、BIM活用が広がってきたことに対応するため、KOAでは(1)内作、(2)KOA本社での統括管理、(3)ローカル社員主体の活用という3つの柱からなるBIM活用戦略を行ってきた。

 同社のBIMグループは、統括するBIMマネジャーの下に、BIMモデルを取り扱い、調整の実務を担う複数のBIMコーディネーターがいる体制が一般的だ。

 内作という点では、人材育成に力を入れており、約70人いる社内の図面スタッフのうち約40人がBIMソフトを使える。その教育訓練は、BCAが運営する建設訓練校、BCAアカデミーなどの外部機関を利用している。

 本社での統括管理としては、入札段階で早くもBIMでベースとなるモデルを作成する体制を整えている点が特徴だ。本社のBIMグループがBIMモデルを管理し、情報共有を行う。

 ローカル社員のBIM人材としての活用も徹底している。本社のBIMグループは、BIMマネジャーも含め現地や周辺国出身のローカル社員など、すべて日本人以外で構成されている。

メディア・コンプレックスの現場事務所で働くBIMグループのローカル社員(写真:家入龍太)
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メディア・コンプレックスの現場事務所で働くBIMグループのローカル社員(写真:家入龍太)
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メディア・コンプレックスの現場事務所で働くBIMグループのローカル社員(写真:家入龍太)
●KOAのBIMグループの人数内訳(2016年2月末現在)
BIMマネジャー BIMコーディネーター モデラー 設備
本社 1 2 2 0
工事事務所 2 8 13 11
合計 3 10 15 11

 シンガポールの建設業界でBIMの活用が急速に広まるなか、KOAは“自前のBIM”にこだわり、ローカル社員で構成されるBIMグループを着実に育ててきた。その結果が、様々なプロジェクトでの成果に結びついているようだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。 日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。 IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 公式ブログ「建設ITワールド」を運営。 著書に「CIMが2時間でわかる本」(日経BP社)、「図解入門 よくわかるBIMの基本と仕組み」(秀和システム)など