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イエイリ建設IT戦略

自主活用で2件竣工!BIMの義務化と鹿島の戦略

BIM先進国・シンガポール現地報告(4)

2016/03/25

鹿島の現地法人、カジマ・オーバーシーズ・アジア(以下、KOA)は、自主的なBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用を積極的に推進し、既に2件の工事を完成させた。その特徴は、(1)内作、(2)KOA本社での統括管理、(3)ローカル社員主体の活用だ。

施工にBIMを活用し、竣工間近なメディア・コンプレックスの建物(写真:家入龍太)

 シンガポールでBIMの活用が急速に増えている背景には、建築確認申請時にBIMモデル提出が義務付けられたことに加え、プロジェクトごとの契約で施主が施工会社にBIM活用を求め始めたこともある。

 現在、KOAが工事を行っているプロジェクトは、いずれも建築確認申請でのBIMモデル提出が義務付けられる以前のものだ。プロジェクトによっては、施主との契約で竣工BIMモデルやBIM実施計画の作成が義務付けられたものもあるが、KOAでは、施主との契約とは別に、自主的なBIMの活用を実践してきた。

KOAが入居するビル(左)。左からKOAのディレクター、安田裕気郎氏とコンストラクションマネジャーの山越広志氏(写真:家入龍太)

意匠、構造、設備の納まりをBIMで詳細に検討

 KOAでは、施主との契約とは別に、鹿島本社の支援を仰ぎながら自主的にBIMの活用を実践してきた。BIMで自主的に施工図の作成やデジタルモックアップの作成などを行ったプロジェクトのうち、既に建物が完成したものとしてはシンガポール国立大学のMD1棟と、シンガポール工科デザイン大学の校舎の2件がある。

 使用ソフトは、BCA(シンガポール政府建築建設局)が行ってきたBIM普及活動の影響で、施主が維持管理(FM)で使うことが多いBIMソフト、Revitをはじめ、BIMモデルを統合・チェックするNavisworksや、ウオークスルーなどを行うShowcaseといったオートデスク製が中心だ。

●自主的なBIM活用の例
プロジェクト名 契約上のBIM活用義務 自主的なBIM活用
MD1(竣工済み) なし 施工図作成、干渉チェック、デジタルモックアップ
SUTD(竣工済み) なし 外装PCの部分検討、デジタルモックアップ、納まり検討、モジュール化
MCP 施工モデル、竣工モデル、BIM実施計画 施工図作成、干渉チェック
NCID 施工モデル、竣工モデル、FMモデル、品質保証、BIM実施計画 施工図作成、施工シミュレーション(躯体、設備狭あい部)、上部空間チェック、天井内スペースチェック、3Dプリンターによる施工検討、法規チェック
SMU なし 施工図作成、干渉チェック
プロジェクト名で、MD1はシンガポール国立大学、SUTDはシンガポール工科デザイン大学、MCPはメディア・コンプレックス、NCIDは国立伝染病センター、SMUはシンガポール経営大学の略

 竣工間近のシンガポール唯一の地上波放送局、メディア・コープ社が発注したメディア・コンプレックスは、劇場やスタジオ、オフィスが入る同社の新社屋だ。槇総合計画事務所が基本設計を担当したこの建物は、まるで船のように前後が鋭角になり、中間が緩やかな曲線を描いている。

 このプロジェクトでは、契約上では施工モデルと竣工モデル、BIM実施計画の作成が義務付けられていたが、KOAでは自主的に施工図作成と干渉チェックも行った。

 「施工モデルで干渉チェックによる十分な調整を事前に行い、建築生産の基本となる躯体図・平面詳細図・設備総合図を施工モデルから作成すれば、現場の納まりの問題はほぼ100%解決できる。外装材の納まりに関しては、設計意図を忠実に再現する検討と、構造体との接合部となる鋼製下地の納まり検討にとても効果があった」とKOAのコンストラクションマネジャー、山越広志氏は説明する。

 BIMソフトの操作を担うBIMグループのスタッフは、すべてローカル社員からなる。建物に隣接する現場事務所では、竣工BIMモデルの作成が終盤にかかっていた。

建物の先端は船首のように鋭い(写真:家入龍太)
微妙に変化する曲面を覆う外装材(写真:家入龍太)
建物全体を覆う外装材のモデル(左)。クローズアップすると精密な納まりまで検討されていることが分かる(右)(写真:家入龍太)
メディア・コンプレックスの現場事務所(左)と所長の高橋広平氏(右)

家入 龍太日経アーキテクチュア

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