シンガポールで求められる竹中の設計施工力
このプロジェクトのBIMチームは石澤氏を含む日本人2人、外国人6人の計8人からなる。そしてBIMの活用が非常にスムーズに進んだかのように見える。
ただ、BIMマネージャーの石澤氏は「初めは、われわれ竹中工務店のスタッフも不安だった」と振り返る。「“勝因”はビルの基礎工事の期間に、施主や協力会社の人たちとBIM活用について話し合うことで下地作りができたこと」(同)という。
石澤氏らが心がけたのは、プロジェクト関係者とのコミュニケーションだ。例えば設計を担当したコンサルタントとは毎週、設備会社とも毎週、鉄骨会社ともピーク時は毎週、打ち合わせの機会を持った。
そして社内では週に2度もBIM関連の打ち合わせを行うという念の入れようだった。石澤氏は現在、チャンギ空港第4ターミナル建設プロジェクトで設計施工に携わっているが、週2回の打ち合わせで意識統一を図るスタイルは継続している。
シンガポールのBCAは、これまでも企業がBIMを導入する際にソフトやハードの購入、教育訓練にかかった費用の半額を補助する制度を運用してきた。そして2015年7月にはその第2弾として、補助体制を強化した。
元請けの建設会社が2社以上の設計事務所とコラボし、干渉チェックなどが済んで整合姓の取れたBIMモデルを、入札前後の段階で設計事務所から建設会社に渡すことなどの条件を満たせば、BIM導入にかかる費用の70%を補助するという制度だ。
「シンガポールでも、竹中工務店の設計施工力と総合力はますます求められると確信している」と、石澤氏は力強く語った。