ドイツでアートを製作し、現場に設置

 キャピタグリーンの1階エントランス周辺には、スタジオ・オラファー・エリアソン(Studio Olafur Eliasson)による高さ15mのアート56本が設置されている。このアートの設置にも、BIMを活用した。

 「アートの製作はドイツで行い、それを現場に搬入して設置した。形の異なるアートの上下をビルの鉄骨と床勾配に完ぺきに合わせて設置するため、2014年11月の設置に先立ち、2013年3月にはBIMで取り合い部分などの設計をミリ単位で正確に決めた」と石澤氏は言う。アートの設置にも、BIMによるフロントローディングが徹底された形だ。

玄関周辺など地上部分には、植物の根のように見えるアートが56本設置されている(写真:家入龍太)
玄関周辺など地上部分には、植物の根のように見えるアートが56本設置されている(写真:家入龍太)
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上の鉄骨、下のベースプレートにピッタリ合うようにBIMで早期に設計を確定した(左)。ドイツの工場で製作中のアート(右)(資料・写真:竹中工務店)
上の鉄骨、下のベースプレートにピッタリ合うようにBIMで早期に設計を確定した(左)。ドイツの工場で製作中のアート(右)(資料・写真:竹中工務店)
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 このほか、ビルの壁面には丸い自然石をランダムに張った部分がある。具体的に現地作業員が理解できる計画や工法にしなければ、望んだ意匠が達成できない。そこで、アルゴリズミックデザインの手法で石の配置をシミュレーションした。

 実際の施工時には、3m角ずつに施工範囲を分け、先に石を床に並べて配置をチェックしてから壁に張ることで、シミュレーションを再現した。

RhinocerosやGrasshopperで石の配置をシミュレーション(資料:竹中工務店)
RhinocerosやGrasshopperで石の配置をシミュレーション(資料:竹中工務店)
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一度、床上で配置を確定してから石を壁に張っていく(写真:竹中工務店)
一度、床上で配置を確定してから石を壁に張っていく(写真:竹中工務店)
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