建物の詳細度は5段階で規定

 ベースとなるシステムには、ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE City」を使っている。しかし、そこに集約される3Dモデルなどは、あらゆるソフトウエアやシステムから集められることになる。

バーチャル・シンガボールのイメージ。国土の3Dモデル上に様々なデータをひも付けていく(資料:NRF)
バーチャル・シンガボールのイメージ。国土の3Dモデル上に様々なデータをひも付けていく(資料:NRF)
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 そのため、バーチャル・シンガポール上には、様々な詳細度を持った3Dモデルが混在することになる。

 そこで、BIMモデルのような「LOD」(Level of Detail)を定めて、モデルの詳細度を定量的に規定している。ただ、その細かさは、BIMのそれより2段階ほど粗いデータになりそうだ。

 例えば「LOD0」は地形、「LOD1」は建物をブロックで表現、「LOD2」は屋根付きの建物、「LOD3」はリアルな外観を盛った建物、そして「LOD4」は内部まで表現した建物、といったイメージだ。

都市のモデル化に使われる建物のLOD基準(資料:NRF)
都市のモデル化に使われる建物のLOD基準(資料:NRF)
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 シンガポールでは、2013~2015年にかけて、建築確認申請でのBIMモデル提出が3段階で義務化されてきた。

 当然、提出されたBIMモデルデータも利用するが、少し加工を要することになりそうだ。「BIMモデルには建物の設計や施工に使うデータが大量に入っており、重すぎる。そこでバーチャル・シンガポールでの利用に必要な情報だけを抜き出すシステムを、今後、開発していく」とジョージ・ロー氏は説明する。