米国カリフォルニア州で、3Dアスファルトフィニッシャーの開発が進んでいる。でこぼこになった路面の形に合わせた量のアスファルト合材を敷きならし、穴を完全に埋めて平らに仕上げる。その仕組みはまさに“舗装用3Dプリンター”だ。道路の補修工事の際に行われる切削作業を大幅に削減することができる。

 路面を陥没の深さまで削り取り、平らにしてからアスファルトフィニッシャーで一定厚のアスファルト合材を敷き、ローラーで締め固める――。陥没ができた道路を補修するときの一般的な工程だ。

一定厚でアスファルト合材を敷きならす一般的なアスファルトフィニッシャー(写真:Advanced Paving Technologies)
一定厚でアスファルト合材を敷きならす一般的なアスファルトフィニッシャー(写真:Advanced Paving Technologies)
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 ところが、米国カリフォルニア州のアドバンスド・ペービング・テクノロジーズ社(Advanced Paving TechnologiesTechnologies)と、カリフォルニア大学デイビス校舗装研究センター(Pavement Research Center)が開発中の3Dアスファルト舗装機は、陥没の深さに合わせてアスファルト合材を敷きならすことができるのだ。

3Dアスファルトフィニッシャーの完成イメージ(資料:Advanced Paving Technologies)
3Dアスファルトフィニッシャーの完成イメージ(資料:Advanced Paving Technologies)
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「削る」から「盛る」へ、逆転の発想で路面を平滑化

 もし、凹凸のある路面のまま、従来のアスファルトフィニッシャーで舗装を行うとどうなるか。 アスファルト合材の厚さは一定なので、穴の部分には十分な合材が行き渡らず、十分な締め固めが行われない。その結果、すぐに亀裂が入り、雨水が浸入して穴が開く。そのうち再度の補修が必要になるというわけだ。

凹凸のある路面(写真:Advanced Paving Technologies)
凹凸のある路面(写真:Advanced Paving Technologies)
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凹凸を修正せず、従来のアスファルトフィニッシャーで施工すると空洞ができる(資料:Advanced Paving Technologies)
凹凸を修正せず、従来のアスファルトフィニッシャーで施工すると空洞ができる(資料:Advanced Paving Technologies)
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締め固めが不十分なところはすぐに亀裂が入り、雨水が浸入し、凹凸のある路面に戻る(写真:Advanced Paving Technologies)
締め固めが不十分なところはすぐに亀裂が入り、雨水が浸入し、凹凸のある路面に戻る(写真:Advanced Paving Technologies)
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 こうした問題を解決するため、3Dアスファルトフィニッシャーは、「削る」から「盛る」という逆転の発想で、路面を平滑に仕上げる。走行しながら路面の凹凸を3Dスキャナーで計測し、路面が陥没した部分には厚く、健全な部分には薄く、アスファルト合材を敷きならすというわけだ。

「削る」から「盛る」への逆転の発想。この後、ローラーで締め固めると全体が平滑になる(資料:Advanced Paving Technologies)
「削る」から「盛る」への逆転の発想。この後、ローラーで締め固めると全体が平滑になる(資料:Advanced Paving Technologies)
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