高齢化社会に対応した施設に

 公共施設の整備で受注者の立場にある建設会社は、施設の好感度の上昇に対して、工期を守り、コストを抑えながら高い品質を実現することでしか貢献できない。新国立競技場の品質に関しては、主に大学ラグビーの観戦で利用することになりそうな者として強く抱いている要望が一つある。バリアフリーの徹底だ。

旧国立競技場の中央門。12年7月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
旧国立競技場の中央門。12年7月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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旧国立競技場の観客席。12年7月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
旧国立競技場の観客席。12年7月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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 旧国立競技場は、日本が長寿国になる前に完成した施設だから仕方のないことだろうが、高齢の観客にとってはバリアが多く快適とは言いがたかった。供用中の秩父宮ラグビー場も同様だ。実を言うと筆者のラグビー観戦は毎回、昭和一桁生まれの親と一緒なので実感を込めて断言できる。

 大型の公共施設整備に対する一般社会からの批判は、日本で少子高齢化が進んでいることを論拠にすることがある。高齢者にとって利用しやすい施設とすることは、そうした批判を抑える効果も見込めるのではないかと筆者は思う。

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