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ケンセツ的視点

インフラ事業の重要性をデータで語ろう

2016/11/29

 大規模地震や豪雨による被害、老朽インフラがもたらす大規模な事故が目立つようになり、国土を守り、経済基盤を支えるインフラを構築する土木事業への風当たりは、少し和らいでいるように見える。

 それでも、「公共事業は無駄遣い」。そんなレッテルを貼る人はまだ少なくない。施工不良や談合といった事件、事前の計画が甘くて完成後にほとんど利用されていない施設などが断続的に発覚するために、そんなイメージが根強く残っているのだろう。

 だが、多くの事業は社会的意義が大きい。だからこそ、インフラ整備の重要性を客観的なデータなどに基づいて示し、広く市民にその意義を感じてもらえるようにする努力は欠かせない。国や自治体といった役所からの発信だけでなく、現場の第一線で働く技術者たちがインフラ整備の価値や意味を改めて認識し、社会に発信していくことも大切だ。

 こうした情報発信は、相手が社会だけでなく、経験の浅い若手技術者や土木などを学ぶ若い世代に向けたメッセージとしても意味がある。インフラの仕事に携わる価値や重みを伝えられるからだ。

 例えば、インフラ整備の重要性を示す一例として、天災リスクが増大していることを示すデータがある。下に示すのは、地震のリスクが高まっている状況を明らかにしたものだ。政府の地震調査研究推進本部が提示する地震リスクのマップによると、各地で地震リスクが増大していることが分かる。このほか、地球温暖化によって将来の大雨発生リスクが高まっていることを明記した気象庁のデータもある。

政府の地震調査研究推進本部が示す30年間で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布。右が2016年6月10日に公表された2016年版のデータ。首都圏や九州などは、左に示す10年前の予想に比べて地震リスクが高まったことが分かる

 リスクがデータとして明らかになる一方、それらに対する備えは必ずしも十分ではない。例えば、地震時に緊急車両などが通行するための道路ですら、まだ対策は完了していない。2020年度の段階でも緊急輸送道路上における橋の耐震化率の目標は、81%という水準にとどまる。

 8割という数字を見て、多いと考える人もいるかもしれない。だが、重要な幹線が一部でも寸断されれば、人や物の流れは著しく阻害される。道路は点ではなく、線やネットワークが成立して、はじめて本当の効果を発揮する。

浅野 祐一=日経アーキテクチュア日経コンストラクション

インフラから始める地方創生──2017年9月25日号を公開しました

多くの自治体が税収減や福祉予算の増加に頭を抱えるなか、新幹線や高速道路といった従来型のインフラ整備による地域振興策には限界がある。一方、規模は小さくても設計や施工、運営に住民や企業を巻き込むことによって、インフラは地域を活性化する起爆剤となる。
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