「減築」に建築確認申請は必要か、否か──。その問いに即答できる建築設計者は少ないのではないか。

「増改築の法規入門」のQ&A、「減築でも建築確認は必要?」のページ。書籍の後半はビューローベリタスジャパンの確認検査員による計45のQ&Aを掲載した(資料:日経アーキテクチュア)
「増改築の法規入門」のQ&A、「減築でも建築確認は必要?」のページ。書籍の後半はビューローベリタスジャパンの確認検査員による計45のQ&Aを掲載した(資料:日経アーキテクチュア)

 日経アーキテクチュアは6月28日に書籍「プロが読み解く 増改築の法規入門(以下、増改築の法規入門)」を発刊した。

「増改築の法規入門」の表紙。定価:本体3800円+税。日経アーキテクチュア、ビューローベリタスジャパン著。B5判、208ページ。ISBN:978-4-8222-0064-0。商品番号:254240。発行日:2016年6月28日(資料:日経アーキテクチュア)
「増改築の法規入門」の表紙。定価:本体3800円+税。日経アーキテクチュア、ビューローベリタスジャパン著。B5判、208ページ。ISBN:978-4-8222-0064-0。商品番号:254240。発行日:2016年6月28日(資料:日経アーキテクチュア)
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 日経アーキテクチュアが民間指定確認検査機関であるビューローベリタスジャパン(本社:横浜市)の協力を得て制作した、増改築に関わる建築法規の解説書だ。前半約100ページは、日経アーキテクチュア編集部が過去5年間(2011年以降)に取り上げた増改築事例15件の解説、後半約100ページはビューローベリタスジャパンの確認検査員による法規解説だ。法規解説は計45のQ&Aの形を取っている。

 本書を企画した発端は、我々、日経アーキテクチュア編集部が増改築の事例を取材する際、それが「合法的」工事なのかを客観的に判断するのが極めて難しい、ということだった。建築関連法規は、新築に関する条文でも分かりにくいものが多いが、増改築に関するものとなると、引用に次ぐ引用で、もはや日本語とは思えないような文章が少なくない。

 そもそも、そのものずばりの言葉がない。象徴的なのが冒頭に挙げた「減築」だ。

 減築は、既存躯体への負担を軽減したり、使用状況の変化に合わせて維持管理費を減らしたりするのに有効な“人口減時代の必須改修アイテム”といえる。しかし、これを実施しようと考える建築設計者は必ず迷うはずだ。はたして建築確認申請は必要なのか──。勝手に「不要」と判断して、工事後に「必要」と分かった場合には、建築基準法違反となってしまう。

 建築基準法には減築という言葉がないので、その工事の内容が「大規模の修繕」「大規模の模様替え」「増築」「新築」「改築」「移転」などの建築確認を要する行為に該当しないかを一つひとつチェックしていかなければならない。

 詳細な解説は本書を読んでいただくとして、結論だけお伝えする。

 「減築には原則、建築確認は必要ない」

 「原則」と付けたのは、ビューローベリタスジャパンによると、以下のような例外が考えられるからだ。