法の知識をストック活用時代の武器に
とはいえ、「減築には原則、建築確認は必要ない」ということを知っているかどうかで、計画の立て方は大きく変わるはずだ。本書では減築に限らず、「用途変更」や「耐震補強」などに建築確認が必要かどうかがすぐに分かるチャート図も掲載している。
また、増改築や用途変更を行う場合に適用となる条文、あるいは緩和規定のある条文のリストや、建築法規の主な改正の歴史をまとめた年表も収録した。
現状では、法規があまりに分かりづらいがために、改修設計の相談を受けても、深く考えることなく「建築確認が不要な範囲での改修」を提案する設計者が少なくないと思われる。そうした不確かな法知識のなかでできる提案は、結果的に、構造躯体とは関係のない表面的なものにとどまりがちになる。
実際には、建築確認不要の範囲でも構造を強化する本格的な改修は可能だ。本書の前半では、戦略的に「建築確認なし」の方針を採った改修事例も多数掲載している。
ストック活用が本格化するこれからの時代に、増改築に関わる法の知識は大きな武器となる。表紙に「新時代のバイブル!」と書いたのも、決して大げさではない。ぜひ一度手に取っていただきたい。目次をご覧になりたい方はこちらへ。電子書籍はこちら。