「全棟建て替え」が波紋を広げている。

 基礎杭の支持層未達が明らかになった横浜市の分譲マンション「パークシティLaLa横浜」で、事業主の三井不動産は瑕疵の有無や安全性の結論が出る前に「全棟建て替え」を基本的な枠組みとして「仮住居費用、新築販売想定価格での買い取り、全戸への慰謝料などを補償する」と提案した。

パークシティLaLa横浜の渡り廊下の手すり。約2cmのずれに気付いた住民の声から、「傾斜マンション騒動」は始まった(写真:日経アーキテクチュア)
パークシティLaLa横浜の渡り廊下の手すり。約2cmのずれに気付いた住民の声から、「傾斜マンション騒動」は始まった(写真:日経アーキテクチュア)
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 その後、杭未達と鉄筋の施工不良が明らかになった同じ横浜市の分譲マンション「パークスクエア三ツ沢公園」でも、事業主の住友不動産はそれまでの「大部分補修」から一転して「全棟建て替え」を提案した。

 日経アーキテクチュアは現在、設計・施工者などを対象に、分譲マンションの施工不良と建て替えに関するアンケートを実施している。回答には、上記の三井不動産の「全棟建て替え提案」について、「消費者保護」の観点から賛美する声が上がっている一方で、法や判例をはるかに上回る水準であり「消費者過保護」と批判する向きも見受けられる。

 現時点で多いのが「補修・補強で十分だったのでは?」という懐疑派だ。