古地図や地形図でも地盤の状況を調べられる
「木造2階建ての小規模住宅で、コストのかかるボーリング調査までは手を出せない。建て主の理解を得られない」。こんな見解を示す建築設計者は多い。
しかし、地盤の状況を把握するための情報は、何もボーリング調査やSWS試験のような地盤調査結果に限らない。古地図や国土地理院がウェブサイト上で公開している地形図、過去の航空写真なども敷地の地盤を把握するために有効だ。
例えば、古地図で調べると100年前は河川だった「旧河道」であれば、内陸部の住宅密集地でも液状化の可能性が高い。30年前の航空写真を見て敷地に工場のような建物が立っていれば、その敷地は締め固められているが、残存基礎がある可能性が高い。
地盤に詳しい応用地質技術本部技師長室の上野将司顧問は、「過去の履歴やボーリング調査データなどの情報を収集し、敷地の地盤について知ることが、地盤トラブルを防ぐ最大の対策だ」と話す。
大地震が発生した際の液状化や豪雨に伴う土石流、突然の陥没など地盤をめぐるトラブルは相次いでいる。発注者の地盤への関心は高まる一方だ。建築実務者にとって、地盤の情報を収集してトラブルを防止する姿勢が一層問われる。
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