ボーリング調査などのデータの共有化や利活用を図り、大規模建築物などの整備に当たって地下空間の安全対策を講じる必要がある——。

 国土交通省が立ち上げた「地下空間の利活用に関する安全技術の確立に向けた有識者審議会・小委員会」(委員長:大西有三・関西大学環境都市工学部客員教授、京都大学名誉教授)は、2月6日に開いた初会合でこんな見解を示した。

 同委員会では、2016年11月に福岡市で発生した道路陥没事故や、15年10月に発覚した横浜市都筑区の分譲マンションの杭施工不良など、地下空間に関する重大事故が相次いで顕在化したことを受け、地下工事の安全技術の確立を検討する。その初会合で示した重要ポイントが、ボーリング調査結果など地盤に関する情報の共有化だった。

専門家が強調する情報収集の必要性

 地盤トラブルの防止に当たって、地盤の専門家が盛んに強調するのは情報収集の重要さだ。地盤調査の結果に限らない。その敷地が50年前、100年前にどのような状況だったか。どのような建物や工作物が立っていたか。近隣に河川や湖沼はないか。

地盤に詳しい応用地質技術本部技師長室の上野将司顧問は、地盤トラブルを防ぐためにボーリングの調査データや敷地の履歴などの情報を収集することの必要性を強調する(資料:上野 将司)
地盤に詳しい応用地質技術本部技師長室の上野将司顧問は、地盤トラブルを防ぐためにボーリングの調査データや敷地の履歴などの情報を収集することの必要性を強調する(資料:上野 将司)
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 地盤は可視化が困難なので、その状況は推測するしかない。そのため、様々な情報を収集して推測の確度を高めることが求められる。そんな地盤の状況を把握するために有効な情報の1つに、ボーリング調査結果がある。