滑り方に違いあり
南砺市の土砂災害は端的に言うと、利賀スキー場跡上方の山腹で地すべり性の斜面崩壊が発生し、その土砂がゲレンデまで流出して滑り落ちたというものだった。土砂が滑ったことは確かなので、分かりやすさを最優先するならば「地すべり」と報じるのも一つの選択肢ではあるだろう。
しかし、富山県の治山や砂防の担当者は「地すべりではない」と明言した。土木界ではこの言葉をもっと限定した意味で用いる。「土地の一部」(地すべり等防止法2条1項)と言えるような巨大な土塊が、傾斜の緩い斜面を比較的ゆっくりと流れる現象のことだ。なお、国土交通省所管の地すべり等防止法や土木研究所では、「地滑り」ではなく「地すべり」と表記する。