日本弁護士連合会の事務局がある弁護士会館(写真:日経コンストラクション)
日本弁護士連合会の事務局がある弁護士会館(写真:日経コンストラクション)
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 公共工事の入札制度改革を求める日本弁護士連合会(日弁連)の意見書について報じた9月25日付の記事には、後日談がある。10月18日、今度は取材ではなく意見書に対する意見を求められて、日経コンストラクション8月14日号の特集「“狂争”入札」を担当した副編集長の真鍋とともに日弁連の事務局を訪ねた。本誌のほかに建設専門新聞2紙の記者も来ていた。

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 公共工事の発注者と受注者である建設業界は、一般社会に及ぼす影響が広範囲で長期的でもある以上、外部から批判的な意見も寄せられるのは当然というより、むしろ必要なことだと以前から思っている。だからこそ筆者は日弁連の意見書を報じることを編集部で提案し、実現させた。

 ただ、意見書の内容には残念な点もあった。担当者は2015年7月、つまり2年以上前に実施した都道府県と政令市を対象とするアンケート調査の結果を主な根拠にしていて、より最近の状況や業界の多様な現実には必ずしも立脚していなかったのだ。その点を指摘する意見を、筆者を含む建設専門メディアの記者がいくつか述べた。

 例えば、「適正価格での発注のため、都道府県の入札では20者以上の参加者数を確保すべきだ」という提言は、建設会社にとって火中の栗のような工事もある現実とは乖離していると言わざるを得ない。技術的な難度の高さや、見込める利益率の低さが甚だしい案件が該当する。

 談合防止策として一般競争入札の拡大を掲げる主張も、16年に発覚したいわゆる舗装談合が一般競争入札で起こったことを考えると、説得力がやや弱いのではないかと感じた。

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