便利だが危険な「胴長靴」

老朽橋探偵 河川橋、とりわけ中小河川に架かる橋では天候に細心の注意を払おう。流域の局地的な大雨によって、水位が上昇しやすいからだ。作業中止の判断基準を事前に設定しておいて、気象情報を取得して避難に役立てる。上流に近い場所は法面が非常に急峻で、河川内から容易に退避できないことがあるので、素早い判断が欠かせない。

 河川内での点検、例えば橋脚の洗掘調査などでは、服装が命取りになることもある。釣りや農作業に用いるゴム製の胴長靴は、いったん内側に水が浸入すると身動きが取れなくなり、最悪の場合は溺死する恐れがある。

K助手 胴長靴は僕も着たことがあります。安くて着脱しやすいので便利だと思いましたが、使い方を誤ればとても危険なのですね。

老朽橋探偵 長靴に水や泥が入っただけでも身動きがとれなくなる。「いわんや胴長靴をや」だよ。

 さて、上に挙げたような危険とは少し異なるが、現場での対人トラブルにも注意したい。桁下に無断で資機材を置いている人、河川敷を不法占拠して耕作する人もいる。橋の下には、ホームレスの人が暮らしていることがある。点検の支障になる物を移動させたり、写真を撮影したりする際にトラブルになりやすい。そういう時は、無理に自分たちで解決しようとせず、管理者に間に入ってもらおう。

無断で桁下に放置された資機材(写真:野永 健二)
無断で桁下に放置された資機材(写真:野永 健二)
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