スズメバチやマムシに遭遇することも

老朽橋探偵 初めて訪れる橋梁点検の現場には、至るところに危険が潜んでいる。分かりやすい例が野生生物。山中にある橋の周囲では、スズメバチやマムシ、熊などの生物に遭遇することがある。不用意に歩き回ると滑落するような地形も少なくない。

 15年7月に、静岡県西伊豆町で獣害対策の電気柵に感電し、男性2人が死亡する事故があったのを覚えているだろうか。住民が自作したという違法な電気柵の電線は、橋の下に設置してあった。もし、この橋の点検を自分が担当していたらと考えると、背筋が凍った人もいるだろう。

橋梁の下面にできた蜂の巣。点検の前に撤去するのが望ましい。防護服を着用しての点検は正確さを欠くし、安全面でも問題がある(写真:野永 健二)
橋梁の下面にできた蜂の巣。点検の前に撤去するのが望ましい。防護服を着用しての点検は正確さを欠くし、安全面でも問題がある(写真:野永 健二)
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K助手 確かに、恐ろしいですね。調べてみると、ハチに刺される事故は8~9月が多く、全国で毎年20人前後の人がハチに刺されて亡くなっているようです。現場に潜む様々な危険を回避するには、どのようにすればいいのでしょうか。

老朽橋探偵 点検に先立って実施する現地踏査の際に、地元の住民にヒアリングをするといい。現場に潜む全てのリスクを取り除くことは難しいが、危険を避けられる可能性は高まる。丁寧に話を聞けば、異音や振動といった橋の状態に関する情報も入手できるかもしれない。

K助手 なるほど。面倒がらずに地元の人とコミュニケーションを取ることが大切ですね。