インフラの廃止に伴って住民と自治体が裁判で争う──。

 そんな近未来を映し出したような争いを繰り広げているのは、大阪市と同市内に建つ「森の宮パークサイドコーポ」という集合住宅の管理組合だ。

大阪市森之宮地区に立つ「森の宮パークサイドコーポ」。コの字形に配した14階建て(一部5・8階建て)の高層分譲住宅だ(写真:日経コンストラクション)
大阪市森之宮地区に立つ「森の宮パークサイドコーポ」。コの字形に配した14階建て(一部5・8階建て)の高層分譲住宅だ(写真:日経コンストラクション)
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 住民側は、集合住宅につながるごみの管路輸送システムを市が廃止したために、損害が生じたと主張。約8900万円を求めて、大阪地裁に提訴した。2015年6月9日までに口頭弁論を7回も重ねてきた。

 ごみの管路輸送システムとは、集合住宅などに設置された投入口に入れたごみを、空気で圧送して集積場や焼却場に運ぶ仕組みだ。大阪市内では森之宮第二市街地住宅と南港ポートタウンの2地域に設けていた。

 いずれも12年7月にまとめた「市政改革プラン」で廃止の方針を打ち出した施設だ。

 市住宅供給公社が1983年に建設した森の宮パークサイドコーポは、その管路システムを備えた276戸の高層分譲住宅だった。