九州自動車道に橋が落下

 九州自動車道では16日、御船IC(インターチェンジ)-松橋IC間の緑川パーキングエリア付近にある跨道橋が、福岡方面に倒れるように崩落。高速道路を塞いでいた。大きな水平力が橋に作用した様子がうかがえる。

緑川パーキングエリア付近で九州自動車道に崩落した跨道橋。左は鹿児島方面、右は福岡方面だ(写真:日経コンストラクション)
緑川パーキングエリア付近で九州自動車道に崩落した跨道橋。左は鹿児島方面、右は福岡方面だ(写真:日経コンストラクション)
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 崩落したのは、県道32号小川嘉島線の府領第一橋だ。現場の状況からすると、この橋梁は多柱式のロッキング橋脚で橋桁を支える構造だとみられる。上下端がピボット支承(上沓を凹に、下沓を凸に球面仕上げして組み合わせ、全方向に回転できるようにした支承)のロッキング橋脚は、軸力だけを負担する。

 仮にピボット支承の回転機能に不具合がある状態で大きな水平力を受ければ、橋脚が破損し、橋桁を支えられずに落下することがある。橋梁構造に詳しい土木技術者は、「こうした形式の橋脚は、耐震補強や落橋防止システムの設置が構造的に難しい」と指摘する。高速道路の跨道橋に多い形式であるだけに、落下のメカニズムを解明し、今後の対策に役立てる必要がある。

手前と奥に転がる円筒状の部材が橋脚。中央には、橋脚の下端に当たる支承が残されている(写真:日経コンストラクション)
手前と奥に転がる円筒状の部材が橋脚。中央には、橋脚の下端に当たる支承が残されている(写真:日経コンストラクション)
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