熊本地震の4月14日の前震に加え、16日未明の本震などに襲われた熊本城で被害が拡大している。建造物では国の重要文化財に指定されている計12棟の櫓(やぐら)と櫓門(やぐらもん)のうち5棟が新たに倒壊した。基礎に当たる石垣の崩壊で傾きやたわみが生じた建造物もある。
同城の建造物の倒壊は、14日の前震では長塀の一部にとどまったが、本震を経て大幅に増加した。熊本市熊本城総合事務所によると、16日正午現在で「東十八間櫓」、「北十八間櫓」、「五間櫓」と櫓門の「不開門」(あかずのもん)が倒壊。現存する最大の建造物である「宇土櫓」でも続櫓(つづきやぐら)の部分が壊れた。どれも江戸時代の遺構で国指定の重要文化財だ。
倒壊した東十八間櫓の部材は、基礎の石垣とともに隣接する熊本大神宮の境内に落下して社殿を損壊させた。
倒壊を免れた重文の櫓でも外壁の漆喰(しっくい)が剥離している。
大天守の被害拡大
本丸では宇土櫓の続櫓が倒壊したほか、鉄筋コンクリート造で復元された天守の被害も拡大している。特に大天守は最上層の屋根が茶色に見えるほど瓦の落下が進んだうえに、天守台の石垣の一部が崩壊した影響で小天守側に傾斜しているという。