北海道新幹線の新青森―新函館北斗間(延長約149km)が3月26日に開業する。開業区間はトンネル構造が最も多く、区間延長全体の約65%を占める。高架橋などは約27%で、切り土や盛り土は約8%だ。東北新幹線との直通運転によって、東京―新函館北斗間(延長約863km)が最速4時間2分でつながる。同区間の整備に要した事業費は5508億円に及ぶ。

開業に向けて訓練走行中の車両(写真:北海道旅客鉄道)
開業に向けて訓練走行中の車両(写真:北海道旅客鉄道)
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北海道新幹線の概要(資料・写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
北海道新幹線の概要(資料・写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
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 開業区間には北海道側に6カ所、本州側に6カ所、計12カ所のトンネルを新たに築いた。これらのトンネルのうち、最も長いのは北海道北斗市と木古内町の間に位置する渡島当別(おしまとうべつ)トンネルで、延長は約8.1km。施工は西側の3.9kmを鉄建・伊藤組土建・岩田地崎建設・松本組JVが担当し、東側の4.2mを大成建設・岩田地崎建設・岩倉建設・加藤組土建JVがそれぞれ担当した。総工費は約140億円に上る。

 渡島当別トンネルに次いで長いのは、延長約6.2kmの津軽蓬田トンネルだ。新青森駅の約19km北側に坑口を設けた同トンネルの地山は、未固結の砂を主体とした蟹田層を含んでいた。同様の地山に造った海峡線の津軽トンネルでは、掘削中に切り羽が不安定な状態にあった。

 そこで、同トンネルでは外径11.3mのシールド機で掘削しながら場所打ちで覆工コンクリートを構築する「SENS(センス)工法」を採用。安全を確保しながら工期の短縮などにも努めた。同工法の採用によって、1カ月当たり最大で367.5m掘進し、当初予定より貫通時期を約5カ月早めた。さらに、5mの小土被り区間も克服した。

津軽蓬田トンネルの貫通式。2012年10月に貫通した(写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
津軽蓬田トンネルの貫通式。2012年10月に貫通した(写真:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
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 津軽蓬田トンネルの施工は、鹿島・鉄建・梅林建設・田中組JVが担当。工費は約154億円で、09年11月に掘削を始めて12年10月に貫通した。