「浅い地下」で移設工事を検討か

 首都高地下化の際には、交通量が1日約10万台(竹橋JCT―江戸橋JCT間)に上る既存の高架道路を使用しながら、周辺の地下でトンネル工事などを進めることになる。そのため、地上の作業用地や地下の掘削空間の確保が不可欠だ。周辺の再開発事業と一体的に工事を進められれば、作業効率の向上やコスト削減などを見込める。

 日本橋みち会議の座長を務めた早稲田大学の伊藤滋・早稲田大学特命教授(当時)も、06年8月の最終会合終了後の会見で、「日本橋川両側の民有地を整理して空け てもらうことが、首都高地下化を実現する鍵となる」と指摘していた。

 ただ当時は、首都高の大規模更新計画や周辺の再開発事業計画が現在ほど進んでいなかったので、同会議の具体案の実施までには至らなかった。「今回は、首都高の大規模更新計画と周辺のまちづくり機運、地元の協力の3点がそろったことが、大臣の取り組み表明につながった」(国交省道路経済調査室)。

 もっとも、日本橋みち会議の提案では、地下移設工事の想定ルートが現在の再開発事業計画エリアより北側にある。そのため、国交省では「当時の提案をそのまま実施することにはならないが、地下化のルートを地下鉄の上部にする『浅い地下』案は参考になる」(同)としている。

日本橋みち会議が提案した「浅い地下」のルート。同会議の資料を基に日経コンストラクションが作成
日本橋みち会議が提案した「浅い地下」のルート。同会議の資料を基に日経コンストラクションが作成
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