実践例2:透水性型枠などを用いた工夫

 2つ目の事例は、復興道路の一部である新小本大橋の現場だ。東北地整が発注した品質確保の試行工事の対象である。下部工の正式な試行工事としては、最初に打込みが行われた現場であった。金濱巨晃監督官を中心に産官学で品質確保の議論を重ね、実践した。

新小本大橋P2。写真右に見えるのが三陸鉄道北リアス線の小本大橋(写真:細田 暁)
新小本大橋P2。写真右に見えるのが三陸鉄道北リアス線の小本大橋(写真:細田 暁)
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 八戸工業大学の阿波稔教授が青森河川国道事務所などと協働で開発した寒中コンクリート用の施工状況把握チェックシートも活用。山口県が開発した施工状況把握チェックシートをベースに、寒中コンクリートに特有の品質確保上の留意点を施工者の意見も踏まえて付け加え、現場で試行しながら作り上げたシートである。

 この現場では、下部工に使用するコンクリートのブリーディングが多いことが事前の調査で分かっていた。そこで表層品質を向上させるために、透水性型枠を採用した。普通ポルトランドセメントを使用し、呼び強度は24 N/mm2、スランプは 12cm、粗骨材の最大寸法 は 25mm である。橋脚は河川内に立てられるため小判型をしている。冬季施工中は特にブリーディングの排除をこまめに行い、脱型後はシート養生を行った。