東日本大震災の被災地で、従来の方法にとらわれず、品質と耐久性にこだわったコンクリートを造ろうとする革命が起きています。
革命の全貌について、大学の有識者、建設会社や道路会社の技術者など、第一線で活躍する当事者が書き下ろした書籍「新設コンクリート革命」が、3月20日に発行されました。
この短期連載では、本書に掲載した内容の一部を紹介していきます。第4回は、施工状況把握チェックシートと目視評価法を東北被災地の現場で採用した事例について、特別に公開します。
実践例1:橋梁下部工での品質確保
施工状況把握チェックシートと目視評価が東北の被災地で導入され、現場レベルでは様々な取り組みや勉強会が実施され始めることとなった。以下に、現場で実践された品質確保の取り組みを紹介する。
1つ目が復興道路の唐丹第二高架橋だ。この現場は国土交通省東北地方整備局の特記仕様書で規定された試行工事の対象ではない。しかし、2014年6月に南三陸国道事務所で開催した品質確保の講習会での施工状況把握チェックシートと目視評価法の情報を参考に、施工者の大豊建設が佐藤正監督官との協働により品質確保についての様々な工夫を行った工事である。
7.5m×4.5mの断面で高さ25mの橋脚である。セメントは高炉B種、呼び強度は27N/mm2、W/Cは53.5%、スランプは8cm、粗骨材の最大寸法は20mmであり、ひび割れ抑制のために膨張材を20kg/m3使用している。5リフトに分割して施工されており、第1リフト(14年8月5日打込み)、第4リフト(10月3日打込み)、第5リフト(10月16日打込み)で目視評価やSWATによる調査を行った。
施工段階では以下のような工夫が見られた。
(1)ポンプ車の筒先に材料分離低減用のホースを取り付け、型枠内へのコンクリートの落下をコントロールしている (2)各リフトの一番下層の型枠に、透明型枠(明かり取り用樹脂製型板)を千鳥配置で用いた (3)フレッシュコンクリート用の改質剤(人工ゼオライト、アクリル酸、界面活性剤など)を現場でアジテータ車に後添加した (4)脱型後に高発泡ポリエチレンシートで養生した