(著)熱血ドボ研2030、(編)岩城一郎、石田哲也、細田暁、日経コンストラクション、定価:本体3,400円+税

 東日本大震災の被災地で、従来の方法にとらわれず、品質と耐久性にこだわったコンクリートを造ろうとする革命が起きています。

 革命の全貌について、大学の有識者、建設会社や道路会社の技術者など、第一線で活躍する当事者が書き下ろした書籍「新設コンクリート革命」が、3月20日に発行されました。

 この短期連載では、本書に掲載した内容の一部を紹介していきます。第3回は、品質確保システムのもう1つのツールである「目視評価法」の詳細について、特別に公開します。

漠然とした評価から定量評価へ

 東北復興道路におけるコンクリート構造物の品質確保の土台を構築する、もう1つのツールが「目視評価法」だ。このツールは、簡単で分かりやすいことと、実構造物の品質向上への即効性が高いことが、東北地方整備局道路工事課長の佐藤の目に留まり、試行工事で活用されることとなった。

 目視評価法とは、コンクリートの脱型後に出来栄えを目視で評価するものである。出来栄えの評価によって、使用材料や施工方法の妥当性を検証し、次回の打込みへの改善に結びつけることが目的である。従来、発注者の竣工検査に合格していた範囲を対象として、コンクリートの表層に生じる不具合を分類し、それぞれの不具合について4段階のグレーディング評価を行う。

 下の図は橋台・橋脚・函渠・擁壁などの一般的な構造物を対象とした目視評価の評価基準だ。施工中に生じる不具合を、(1)沈みひび割れ、(2)表面気泡、(3)打重ね線、(4)型枠継ぎ目のノロ漏れ、(5)砂すじの5項目に分類している。

■橋台・橋脚・函渠・擁壁などの一般的な構造物を対象とした目視評価シート
■橋台・橋脚・函渠・擁壁などの一般的な構造物を対象とした目視評価シート
(資料:細田 暁)
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 これまでは脱型後の出来栄えについて、全体を漠然と評価していたといえるが、5つの項目に分類し、それぞれについて評価することで、数値化が可能になった。

 数値で評価されなかった出来栄えを、4段階のグレーディングにより定量評価することで、施工方法の妥当性の検証や、施工方法改善のためのPDCAに活用することができる。なお、東北地整の試行工事では、満点を4点、最低点を1点として、0.5点刻みで数値を付けることを許容している。