改善方法の提案が可能

 目視評価法は、エリア全体を見たうえで、改善が必要だと評価者が思うときにはそれを反映した数値を付ける。そのため簡単な手法ではあるが、全体を評価していることになる。仮に不具合が一部分に集中している場合であっても、その状態を次にどう改善したいのかがポイントであって、それを反映した評価結果にすればよいのである。

 そして最後の評価ポイントは、多くの人が同時に実施できる点だ。一般的な試験は、技術を持つ人間が少人数で行う場合がほとんどである。この目視評価法は、発注者、施工者、作業員などが容易に行うことができる。

 目視評価法では仮に評価が低い場合でも、次への改善策を提案できる場合が多い。コンクリートの表層に現れた不具合には理由があり、技術や経験を持つものであれば、理由の推察も付くし、改善方法を提案することができる。この特長が適切に活用されることにより、コンクリート構造物の建設に携わる関係者の協働的な対話につながることが期待できる。

※この短期連載は、「新設コンクリート革命」から一部を抜粋したものです。第4回は5月9日(火)に掲載します。

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  • 発行日:2017年3月20日
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