協働的な対話につながる

 復興道路や山口県などにおける産官学の協働の取り組みにおいては、良質のコミュニケーションが基本となる。施工状況把握チェックシートを上手に活用することにより、プレーヤーの協働関係の構築につなげることが可能となる。

 図2は、施工状況把握チェックシートの効果と協働的な対話が構築されるメカニズムを図にしたものである。施工の基本事項を明確化したことにより、監督員は把握の視点が明確になり、不適切な施工に対して改善指示を出せるようになる。また、施工者は適切な施工計画を立て、適切な事前準備を行うようになる。

図2■ 施工状況把握チェックシートの効果と構築される協働的な対話の構図
図2■ 施工状況把握チェックシートの効果と構築される協働的な対話の構図
(資料:細田 暁)
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 そして、施工状況把握チェックシートで重要なポイントになるのが、一見「曖昧な」チェック項目があることだ。監督員、施工者、さらには関与する学識者にスキルとマインドがあれば、協働的な対話につながる。

 例えば、「コンクリート打込み作業人員に余裕を持たせているか」という項目があるが、適切な作業人員の数とは、季節などの環境条件も含む現場の条件により異なる。品質確保のために適切な数について監督員と施工者の双方が思いを巡らせること自体に、まずは意味があると考えている。

※この短期連載は、「新設コンクリート革命」から一部を抜粋したものです。第2回は4月25日(火)に掲載します。

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  • 発行日:2017年3月20日
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