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グリーンインフラ

遊水地がグリーンインフラで多機能化

(3)新時代のインフラで公共事業が変わる!

2017/03/02

 2016年度に入ってウェブ検索による公開・更新数が急上昇中の「グリーンインフラ」。日経コンストラクションでは、これからの公共事業を変えるグリーンインフラの事例を集めた書籍「決定版!グリーンインフラ」を1月24日に発行した。ウェブでは発行を記念し、3回にわたって書籍の一部を紹介している。
 第1回:社会問題を丸ごと解決「グリーンインフラ」
 第2回:水問題にグリーンインフラ活用、先進国シンガポール

書籍「決定版!グリーンインフラ」。2月中旬から検索可能な電子版も発売している

 最終回となる第3回は、激化する水害を防ぐために、総合的な治水対策の一つとして整備が進む麻機遊水地(静岡県)のグリーンインフラの事例を紹介する。

 洪水時に水害を防ぐだけでなく、平常時には人間にレクリエーションや環境学習の場を、また野生動植物に生育・生息環境を提供する遊水地は、グリーンインフラとして大きな期待が寄せられている。遊水地内を利活用する人間の作用が、生物多様性の保全にも影響している。

川の水をあふれさせる水害対策

 麻機遊水地は、静岡市を流れる巴川の流域に造られた治水施設である(写真1)。巴川は静岡市の市街地北部の丘陵地を水源とし、市街地を貫通して清水港に注ぐ延長約18kmの河川である。流域面積は約105km2であり、静岡市全体の7.6%にすぎないが、流域には静岡市の人口の47%に相当する約34万人が居住している。

写真1■麻機遊水地全景。2013年11月に撮影(写真:静岡県)

 巴川が流れる地形は平坦で、河川の勾配は約2000分の1しかない。そのため、流域に大雨が降るとその水は容易に流下せず、川から周辺に水があふれ浸水被害が生じる。1974年7月7日に起きた「七夕豪雨」では、2万6000棟の家屋に床上・床下浸水の被害が生じた。

 このような水害を防ぐため、巴川流域では雨水の浸透や貯留の促進などの総合的な施策が進められている。これらの治水施策の一つが麻機遊水地の整備である。

 遊水地とは洪水時に河川の水を一時的に氾濫させる土地のことである。河川の堤防の一部を他の部分よりも低い「越流堤」とし、そこから意図的に水をあふれさせ、隣接する遊水地にためる。遊水地にたまった水は、河川の水位がある程度まで低下してからゆっくりと川に戻っていく。

 このように遊水地が水位の緩衝材のような役割を果たし、下流の水害を防ぐ。麻機遊水地は約200haの面積を持つ遊水地として設計され、現時点では約110haについては遊水地を取り囲む堤防が完成し、ほぼ毎年のように河川からあふれた水を受け止めている。

西廣 淳=東邦大学理学部生命圏環境科学科准教授日経コンストラクション

インフラから始める地方創生──2017年9月25日号を公開しました

多くの自治体が税収減や福祉予算の増加に頭を抱えるなか、新幹線や高速道路といった従来型のインフラ整備による地域振興策には限界がある。一方、規模は小さくても設計や施工、運営に住民や企業を巻き込むことによって、インフラは地域を活性化する起爆剤となる。
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