日経BP社は1月24日、書籍「決定版!グリーンインフラ」を発行した。「グリーンインフラ」は公共事業を変える概念として近年、注目を集めている。

白地に緑色が生えたデザインの<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/482223522X/" target="_blank">「決定版!グリーンインフラ」</a>。アマゾンの売れ筋ランキング「建設・土木部門」で1位を獲得(1月26日)
白地に緑色が生えたデザインの「決定版!グリーンインフラ」。アマゾンの売れ筋ランキング「建設・土木部門」で1位を獲得(1月26日)

 書籍では、グリーンインフラの実践に関わる第一線の専門家50人近くが、国内外の最新事例を解説。土木はもちろんのこと、建築、生態、森林、造園、緑化など、あらゆる工学の事例を掲載している。

 ここでは3回にわたって、書籍や日経コンストラクションに掲載した特集の一部を紹介していく。

 そもそも「グリーンインフラって何?」という人も多いと思われるので、第1回ではまず、グリーンインフラの概念や国内の政策動向などについて見ていこう。

国土形成計画で位置付けられた

図1 ■ グリーンインフラの構成要素
図1 ■ グリーンインフラの構成要素
(イラスト:山田 タクヒロ/写真:福岡孝則・神戸大学大学院准教授)
[画像のクリックで拡大表示]

 グリーンインフラ(グリーンインフラストラクチャー)とは、自然環境の幅広い機能を活用した社会資本整備や土地利用の在り方のことを表す概念だ。欧米では10年以上前から公共事業の都市戦略や環境政策の文脈で使われていたものの、日本国内ではほんの数年前から普及し始めた。

 そのグリーンインフラが最近、急速に注目を集めている。2015年に、国の施策に位置付けられたためだ。8月に閣議決定した、今後10年間の国土づくりの方向性を定める国土形成計画に、「グリーンインフラ」という言葉が初めて使われた。

 同年9月に作成した第4次社会資本整備重点計画では、持続可能な地域社会の形成に向けて、グリーンインフラの推進を明記した。16年5月に決定した「国土強靭化アクションプラン2016」でも、防災・減災につながる施策として、グリーンインフラの推進が盛り込まれた。