パシフィックコンサルタンツ、八千代エンジニヤリング キャリアデザインに注力

 パシフィックコンサルタンツは、若手のキャリアデザインに力を入れる。新入社員はまず、「専門性を極める」、「社会に貢献する」、「プライベートを充実させる」といった働くうえで大切にしたいことをシートにまとめ、上司と共有。次に、これらを実現するために1、3、10年後までに何をしなければならないか定め、コーチと呼ぶ30歳代半ばの先輩社員と面談して達成度を確かめる。

 対象となるのは大学の学部卒5年目と院卒3年目までの若手。コーチやトレーナーを含めると全社で600人近くが関わる大きな制度だが、「若手の目標設定やモチベーション向上に役立っている」と同社の飯島玲子D&I推進室長は見る。

 仕事の段取りや課題解決の方法を共有できないか──。八千代エンジニヤリングでは、若手からこうした声が上がった。いずれもマニュアル化しづらい暗黙知だ。同社は季刊の社内報を通して、先輩から若手へノウハウを伝えている。

[若手との接し方] まずは何気ない会話から
日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 酒井 誠一(写真:日経コンストラクション)
日本コンサルタントグループ 建設産業研究所 酒井 誠一(写真:日経コンストラクション)
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 建設会社の社員研修などで出会う20歳代の若手は、同世代以外と積極的にコミュニケーションを取らないと感じる。性格は「真面目、素直、おとなしい」。仕事が順調に進んでいるときの調子は良いが、不測の事態に弱い。

 上司や先輩と信頼関係を築き、仕事の動機付けさえ成功すれば、真面目なので成長は早いのではないか。若手の仕事ぶりを認めているよと、上司や先輩が普段の何気ない会話の中で伝えることが大切だ。まずは「ありがとう」や「ご苦労さん」でも構わない。

 若手がOJTで技術的な内容をどれくらい習得しているのかを確かめるには、「はい」、「いいえ」で答えられるクローズド・クエスチョンではなく、「次の手順を言ってごらん」のように説明を求めるオープン・クエスチョンが有効だ。答えに間違いがあれば指摘し、似たような状況のときにもう1度、同じ質問を投げかけてみるとよい。(談)

(日経コンストラクション2017年7月24日号掲載)