世界新三大夜景がきっかけに

 旧鍋冠山公園展望台は1972年に造られた。長崎市は2003年に「鍋冠山公園展望施設整備等基本計画」を作成。翌年、園路やトイレを整備し、樹木を伐採したが、展望台の建て替えは見送られた。

 建て替え事業が大きく動いたのは13年。前年に東京の一般社団法人「夜景観光コンベンション・ビューロー」が、世界新三大夜景として、モナコ、香港と共に長崎を選出したことがきっかけだ。これを受け、鍋冠山に夜景を見に訪れる観光客や市民の増加が見込まれることから、市は展望台のリニューアルに踏み切った。

 九州大学の高尾忠志准教授が務める「長崎市景観専門監」は、市の公共事業のデザインに関する指導や管理のほか、市職員の人材育成などを担う。今回の事業で、市と専門監と建設コンサルタント会社による協議は、3年間で15回ほど実施された。

北側から見下ろした展望台。眺望を確保するために樹木を伐採し、展望台を以前よりも7mほど北側(写真の下側)に張り出させた(写真:長崎市)
北側から見下ろした展望台。眺望を確保するために樹木を伐採し、展望台を以前よりも7mほど北側(写真の下側)に張り出させた(写真:長崎市)
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雨をしのぐことができる1階展望デッキ。基本設計ではガラス張りで屋内化する構想だったが、工費削減のためガラスをやめてスチールの手すりとした(写真:イクマ サトシ)
雨をしのぐことができる1階展望デッキ。基本設計ではガラス張りで屋内化する構想だったが、工費削減のためガラスをやめてスチールの手すりとした(写真:イクマ サトシ)
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