開通が3年も遅れる異常事態に

 工法の再変更で、16年度末を予定していた大和川線の全線開通は19年度末に遅れる異常事態となった。そして、裁判は「言った、言わない」の水掛け論に陥りつつある。

 問題解決の糸口は、どこにあるのか。建設マネジメントを専門とする東京都市大学の草柳俊二客員教授は、「今回の設計業務における受発注者の責任範囲を改めて明確にしたうえで、受注者の瑕疵の有無を分析しなければならない」と指摘する。

 「コンサルタント会社は、プロです。プロとして提出をされた成果物については、瑕疵があってはならないと僕はそう思いますし、瑕疵が出た場合は、責任をとっていただきます」。松井一郎府知事は議会の答弁でこのような発言を繰り返し、日本シビックの「プロ」としての責任を一方的に追及してきた。

 しかし、公共事業の発注者である府にも、「プロ」として設計の与条件を設定したり、受注者間の意見を調整したりする役割と責任がある。府は発注者としての責務を適切に果たしたか。設計者の責任を追及する前に、まずは自らの責任を納税者に対して明らかにする義務がある。