請求額は受注額の300倍超

 安定対策の変更に伴い、工事費はさらに約56億円も増加。ついに約340億円まで膨れ上がった。

 府は工法の再変更に伴い、今年2月に日本シビックへの請求額を約7億5000万円から約86億円に拡大した。上述の「連続ケーソン工法」と工事費の差額である約62億円に、遅延損害金を加えた額だ(図3)。

図3 ■ 請求額は「連続ケーソン工法」との差額と遅延損害金の合計
図3 ■ 請求額は「連続ケーソン工法」との差額と遅延損害金の合計
取材をもとに日経コンストラクションが作成
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 府の亀井課長補佐は、「元をたどれば、原因は日本シビックの設計ミスにある。改めて差額を請求したにすぎない」と説明。安定対策を議論した技術検討会や、対策を決定した府に責任はないとの考えを示す。

 受注額の300倍を超える賠償を求められた年商約23億円の日本シビックは、親会社の日本工営とともに、記事冒頭のような反論を改めて発表せざるを得なくなった。「金額が大きく、他の発注者からすれば、当社の経営の先行きに懸念を抱いても無理はない。そこで、我々の考えを改めて示すことにした」(日本シビックの松沢裕範取締役)。