地下構造物編35 約10mのU型擁壁頂部に水平変位が生じた

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概要

 竣工後、半年でU型擁壁頂部に水平変位(計測時最大で20mm)が生じ、コンクリート舗装と壁高欄との間に隙間およびコンクリート舗装にひび割れが発生した。原因は、高擁壁においてクリープ変形によって水平方向の変位が生じたものと推測される。設計段階では、クリープによる影響を検討していなかった。

解説図

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対策

 コンクリート舗装と壁高欄との間に発生した隙間にはアスファルト系目地注入材による補修を行った。コンクリート舗装に発生したひび割れに対しては、エポキシ樹脂系のひび割れ注入剤による補修を実施した。また、擁壁の水平変位の進行度を把握するため、2年間、変位計測を実施することにした。

対策担当者の声

 通常、擁壁の設計ではクリープによる影響を検討しないが、10m程度の高いU型擁壁のような通常とは異なる構造物を設計する場合は、クリープの影響を照査するなど、照査項目を十分検討することが重要である。