京阪エリア鉄道大改造

阪急淡路駅に上下2層の巨大高架橋

2017/11/02

日経コンストラクション

京都線梅田方(3工区)に出現したトラス桁。営業線の線路の真上に高架橋を構築する直上工法をとる(写真:大野 雅人)

 新大阪駅から東へ2km、阪急電鉄の京都線と千里線が平面交差する淡路駅。阪急線の要衝であるこの駅を含めた一帯に、巨大な高架橋が出現し始めた。地平を走る阪急線の線路を高架化する「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」だ。

 この事業は、大阪市東淀川区東淡路にある淡路駅とその前後の線路7.1kmを高架化するもの。総事業費は1632億円で、そのうち阪急電鉄などの鉄道事業者が約138億円を負担する。

 10月初旬、淡路駅とその周辺を歩くと、工事が進む上下2層のトラス桁の高架橋や直上高架施工機が見えた。

淡路駅の完成イメージ。ホームは上下2層構造。上層階ホームは大阪方面(下り 梅田・天神橋筋六丁目方面)、下層階ホームが京都方面(上り河原町・北千里方面)に(資料:大阪市)
阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業平面図(資料:大阪市)

 この高架化工事で崇禅寺、淡路、柴島、下新庄の4駅が高架駅になる。周辺17カ所の踏切が解消され、線路で分断されていた交通の流れを円滑にする効果が期待できる。

淡路駅付近の国次踏切。千里線 北千里行き電車が通り過ぎるのを待つ(写真:大野 雅人)

 事業主体は大阪市、実際に工事を発注する施工主体は阪急電鉄、施工管理や各種調整を阪急設計コンサルタントが担っている。

 施工は8工区に分け、1工区が西松建設・佐藤工業、鉄建建設JV、2工区が奥村組・錢高組・熊谷組JV、3工区が大林組・ハンシン建設JV、4工区が鹿島建設・戸田建設JV、5工区が森組・清水建設・フジタJV、6工区が鴻池組・竹中土木・青木あすなろ建設JV、7工区が大成建設・間組JV、8工区が飛島建設・前田建設工業・淺沼組JV。

2路線分岐点に“3階建て”コンクリート構造物

手前が京都線と小川踏切、奥が千里線と国次踏切。踏切を挟んだ両側に、建設中の高架橋が見える(写真:大野 雅人)

 淡路駅の梅田方にある小川踏切と国次踏切は始電から終電まで警報音が鳴り止まない。この場所は京都線梅田方面と千里線天神橋筋六丁目方面の分岐部分に当たる。ラッシュ時、歩行者は千里線を渡れたと思うと、すぐに京都線の遮断機に行く手をはばまれるときもある。

 このV字状の線路の途中にある小川踏切・国次踏切からは、鉄筋コンクリート製の高架橋が、2方向で造られているのが間近に見える。淡路駅とその前後区間は、上下2層の構造となる。

小川踏切と国次踏切の間から上下2層構造の大阪方面を見る(写真:大野 雅人)

 淡路駅は、上層階ホームが大阪方面(下り、梅田・天神橋筋六丁目方面)に、下層階ホームが京都方面(上り、河原町・北千里方面)になる。踏切から見えた2層の高架橋は、3階部分が大阪方面、2階部分が京都方面だ。

 千里線の天神橋筋六丁目方面は、既存の地平線路を仮線へ切り替えて新設した上下2層の高架橋が見えた。

写真左手が淡路駅。高架で分岐し、写真右手方向が京都線梅田方、写真中央奥方向が千里線天神橋筋六丁目方(写真:大野 雅人)
京都線の線路脇から千里線天神橋筋六丁目方面を見ると、上下2層で天神橋筋六丁目方面へと延びるコンクリート製高架橋が出現しているのが見えた(写真:大野 雅人)

営業中の線路上空に直上高架施工機

淡路駅を背にして崇禅寺駅方を見る。直上工法をとる崇禅寺―淡路間に、直上高架施工機が出現した(写真:大野 雅人)

 淡路駅の京都線梅田方や千里線北千里方では、異なる工法で工事が進む構造物が出現した。梅田方の線路上には、青い鉄製作業台がまたがっている。直上高架施工機だ。

 営業線の線路の真上に高架橋を構築する直上工法をとる崇禅寺―淡路間は、高さ約26mの直上高架施工機に取り付けたクレーン2基などで、高架橋を造っていく。

 また、千里の下新庄駅付近の線路は、すぐ南側の上を東海道新幹線が走り、北側では神崎川が流れている。この区間は、既存の線路を仮線に切り替え、既存線路跡地に高架橋を構築する仮線工法をとる。

 下新庄駅の北千里方にある下新庄踏切からは、天神橋筋六丁目方面電車が新設された仮線の上を走る姿が見えた。神崎川を渡る橋りょうも、そのすぐ上流側に仮線が新設されている。

吹田駅を背にして下新庄駅を見る。左側の線路が天神橋筋六丁目方面、右側が北千里方面(写真:大野 雅人)
下新庄踏切から北千里方面を見る。左が既存の北千里方面の線路、右が仮線の天神橋筋六丁目方面。その間に、新たな橋脚も出現し始めた(写真:大野 雅人)

 阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業は、1997年度に用地買収に着手したが難航した。大阪市は阪急電鉄と事業期間について見直し、高架切り替え時期を当初の2017年度末から7年延期して24年度末とした。全体が完成するのは、27年度末となる見込みだ。

 用地取得の遅れについて大阪市は、鉄道構造物工事に関わる用地での境界確定や権利関係の問題や、補償調査の長期化などを理由に挙げている。

 阪急淡路駅の300m京都側には、新大阪駅まで延伸するおおさか東線の淡路駅も姿を現し始めた。こちらは2018年度末の開業を目指して工事が進む。

大野 雅人=フリーエディター日経コンストラクション