淀川河口部で計画堤防高より低い阪神なんば線の「淀川橋梁」を架け替える。橋のかさ上げに伴い、川の両岸にある2駅も造り替える大事業だ。このほど行政や鉄道事業者からなる協議会の初会合が開かれ、事業が本格的に動き出した。

淀川河口部に架かる鉄道橋や道路橋。写真中央付近のアーチ橋の手前が阪神なんば線の淀川橋梁(写真:大野雅人)
淀川河口部に架かる鉄道橋や道路橋。写真中央付近のアーチ橋の手前が阪神なんば線の淀川橋梁(写真:大野雅人)
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阪神なんば線・近鉄奈良線などにも直通する阪神1000系電車(写真:大野雅人)
阪神なんば線・近鉄奈良線などにも直通する阪神1000系電車(写真:大野雅人)
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 琵琶湖から大阪湾へと注ぐ総延長75kmの一級河川、淀川。その中流域や河口部では、水位よりも低い土地にオフィス街や宅地が広がり、高潮や洪水で浸水する危険性が高いエリアが多い。大阪市は、市域全体の9割が想定氾濫区域内に含まれている。河口部で淀川をまたぐ鉄道橋にも課題がある。阪神なんば線の淀川橋梁もその一つだ。

 淀川河口部に架かる鉄道橋や道路橋のなかで、最も低いのが阪神なんば線淀川橋梁だ。洪水や高潮などで水位が上昇した場合、橋が流れを阻害して、市街地に洪水をもたらす危険をはらんでいる。

 こうした課題に対して国土交通省は、老朽化した堰や水門、橋梁などの構造物を改築する特定構造物改築事業として「阪神なんば線淀川橋梁改築事業」を2000年度に採択。2009年に策定した淀川水系河川整備計画にも、洪水を安全に流下させる対策や高潮対策の一つとして淀川橋梁改築を盛り込んだ。

淀川に架かる阪神なんば線淀川橋梁の位置(資料:国土交通省)
淀川に架かる阪神なんば線淀川橋梁の位置(資料:国土交通省)
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阪神なんば線淀川橋梁とその左岸にある伝法駅、右岸にある福駅(資料:国土交通省)
阪神なんば線淀川橋梁とその左岸にある伝法駅、右岸にある福駅(資料:国土交通省)
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阪神なんば線淀川橋梁の現況イメージ(資料:国土交通省)
阪神なんば線淀川橋梁の現況イメージ(資料:国土交通省)
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 1月11日、国土交通省と大阪府、大阪市、阪神電気鉄道は、阪神なんば線淀川橋梁改築事業の推進を目的とした協議会の初会合を開き、同会設立趣旨、同橋梁の現況、事業概要などを共有。地域の安全確保を早期に図る必要性を確認した。

 今後、国土交通省近畿地方整備局が事業主体となり、地元説明会、事業予定区域の明示、地権者説明会、用地測量・境界確認・建物調査、用地協議・取得・補償、工事説明会などを経て工事に着手する。