下流側に新設、淀川左右岸も高架に

大阪の海へと注ぐ淀川、いくつも架かる橋、伊丹空港を発つ旅客機(写真:大野雅人)
大阪の海へと注ぐ淀川、いくつも架かる橋、伊丹空港を発つ旅客機(写真:大野雅人)
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 河川氾濫、流下阻害、地盤沈下などのリスクをはらむ阪神なんば線淀川橋梁。阪神なんば線淀川橋梁改築に係る事業調整協議会は1月11日の初会合で橋の改築計画を発表した。河積阻害率4.2%(河川管理施設構造令5%以内)を満たす背の高い橋(計画堤防高O.P.+8.1m基準)を、現在の橋の大阪湾側(下流側)に新設するプランを打ち出した。国交省近畿地方整備局によれば、事業予算は約500億円を見込んでいる。

阪神なんば線淀川橋梁架替事業イメージ(資料:国土交通省)
阪神なんば線淀川橋梁架替事業イメージ(資料:国土交通省)
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 これまで国交省などは、同橋梁改築について、高架を基本とした仮線方式・別線方式・直上方式、地下化を想定した直下方式などを検討してきた。今回のプランは、事業費や技術的ハードルを見込んでの検討結果だ。

橋梁のかさ上げを検討していたときの候補案の施工手順(資料:国土交通省/出典:大阪府の連続立体交差事業パンフレット 大阪府連続立体交差事業協議会)
橋梁のかさ上げを検討していたときの候補案の施工手順(資料:国土交通省/出典:大阪府の連続立体交差事業パンフレット 大阪府連続立体交差事業協議会)
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橋梁のかさ上げを検討していたときの候補案のメリットとデメリット(資料:国土交通省)
橋梁のかさ上げを検討していたときの候補案のメリットとデメリット(資料:国土交通省)
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 阪神なんば線淀川橋梁架替の事業区間は、福駅の900m尼崎寄りにある大和田川公園付近から、阪神高速2号淀川左岸線交差部付近までの2.4km。同区間の淀川左岸・右岸区間は高架化し、同じ高さを保ったまま淀川を高い位置でまたぐという計画だ。

阪神なんば線淀川橋梁架替事業の平面イメージ(資料:国土交通省)
阪神なんば線淀川橋梁架替事業の平面イメージ(資料:国土交通省)
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 上田正樹「悲しい色やね」の歌詞にもあるように、いくつもの川が流れている大阪。国交省近畿地方整備局は、計画規模降雨に対する氾濫解析で、浸水面積3300ha、浸水区域内人口27万7500人、浸水区域内家屋数13万戸、被害総額7兆9300億円と想定している。